リーダーであるからこそ、陥ってはいけない自己認識の罠

AI技術の発展によって、かつては人間が行っていた多くのタスクが自動化され、効率的に処理されるようになりました。

しかし、その一方で、AIは人間の創造性や感情、柔軟な思考を持たないため、人間の知識とAIの能力をどのように融合し、活用していくかが大きな課題として残されています。

この文脈において、リーダーは人間の知識をどのように管理し、最大限に引き出すかが求められます。

というようなことを言うは、賢明なリーダーの方々は、十分に理解しているよ。分かっていると応えてくれます。

ところが、リーダー不足は、常に組織の課題として上位に入ってきます。「分かっているけれど、それが実行できない」ということだと思います。

これを考える場合に、直接的にリーダーが取るべき、リーダーシップを論じて、行動を考えるより前に、その行動の選択や質に影響を与える「感情」のマネジメントについて検討することが、早道だと考えています。

その「感情」を捉える上で、押さえたい事が役職や業績と、人の価値についての捉え方です。

役職や業績と人としての価値を結び付けてはいけない

人の価値や存在価値を役職や業績、社会的な地位で測ることは、私たちがよく陥りがちな大きな誤解の一つです。

組織の中で人の価値をその人が持つ役職や経営成果で評価してしまうと、私たちは本質的な「人としての価値」を見失いがちです。

しかし、実際にはそのような基準で人の価値を定義することは誤りであり、結果として私たち自身や他者の生き方を限定し、不幸にしてしまう可能性があります。

まず、役職や肩書は人の価値を示すものではありません。たとえば、大統領や会社の社長という役職に就いている人は、確かにその組織や社会において大きな責任を担っていますが、それがその人の人間としての価値を決定するわけではありません​​。

役職は単なる役割にすぎず、その人がそのポジションを務めているからといって、人としての尊厳や価値が他の人よりも優れているということは決してありません。

また、企業の規模や業績も、人の価値を測る指標にはなりません。たとえば、小さな企業を経営する人と大企業を経営する人を比較したとき、大企業の経営者のほうが「価値がある」とみなされる傾向があります。

しかし、企業の規模やその成功はあくまで外的な成果であり、その人の内面的な価値や本質的な人間性とは何の関係もありません​​。

結果は行動の指標であり、人の価値を表現していない

このような誤解が広がる原因の一つに、社会や組織の中での評価基準が結果重視であることが挙げられます。

特にビジネスの世界では、業績や成果がその人の評価に直結しがちです。そのため、業績を上げた人が「成功者」として賞賛され、そうでない人が「失敗者」として見なされる風潮があります。

しかし、これもまた大きな誤解です。結果はあくまでその時点での状況に基づいたものであり、個人の努力や内面的な成長を正確に反映しているとは限りません​。

たとえば、世界的なベストセラーである「ビジョナリーカンパニー」の中でも、企業の成功が必ずしも経営者個人の価値を示すものではないとされています​。

成功は一時的なものであり、持続的な成功には継続的な学習と適応が必要です。つまり、成功という結果そのものに価値があるのではなく、それに至るまでの過程、すなわちどのような努力をし、どのような信念を持って行動したかが重要なのです。

これらのプロセスを経て人は成長し、その成長こそが人としての真の価値を形成していきます。

さらに、リーダーシップとは困難な状況に直面したときに、どのように対処するかに価値があることは誰もが知るところです。

成功や地位に依存せず、困難にどう向き合い、どのように成長するかが、リーダーとしての本質であり、それが人の価値を左右するものです。

どんなに高い役職に就いていても、その人が他者を尊重し、自分自身の成長に向き合わなければ、本当の意味での価値は得られません。

まとめ

結局のところ、人の価値は役職や成果、社会的な地位とは無関係です。人は、その存在そのものが価値を持っています。

それぞれが持つ個性、経験、思考、そしてその人がどのように他者と関わり、成長していくかが本質的な価値を決定します​。誰しもが、役職や業績に縛られることなく、自己の存在に自信を持ち、他者を尊重する社会を築いていくべきです。

役職や業績にとらわれず、人の本質的な価値を見つめることで、私たちはより豊かで人間的なつながりを築くことができます。

そして、AI時代に求められるリーダーシップを磨き、発揮できる人間的成長を掴み取ることができると考えます

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