リーダーシップを磨く7つの習慣1「自分を知る」

リーダーシップというと、メンバーをまとめ、困難があればチームが一丸となってそれに取り組み、最後は困難を解決する。そしてメンバーの繋がりは強くなり、チーム目標を達成する。こんなドラマの中のリーダーシップをイメージするかもしれません。

しかし、現実はドラマのようにはいきません。思うようにメンバーは動いてくれません。

リーダーシップを学ぶ上での間違いがここにあります。組織目標達成の為にメンバーをまとめ、動かすことに意識が向いてしまっている。

そこに自分自身の言動やあり方はさておき、メンバーを動かすことだけを考えてします。

しかし、メンバーはリーダーの言動やあり方に影響を受け、人を動かすことだけ考えているリーダーのことはお見通しです。

なので、リーダーはリーダーシップを発揮するために、まずは自分自身を知ること、そしてリーダーとしてのマインドセットを持つことが必要です。

その為に、はじめに知っておくことは、脳の認識プロセスです。

脳の認識プロセスとは

図1

自分自身を知るためには、まず自分自身が脳内でどのように認識されているかを理解する必要があります。

脳は、情報を受け取り、その情報を処理、判断、保存する認識プロセスを持っています。

自分についての認識も、このプロセスに基づいて形成されています。しかし、脳は情報を削除、歪曲、一般化します。

つまり、自分についての情報も歪められてしまっているということです。

図1をご覧ください。まず理解してほしいことは、外界の情報には「一切意味は無い」ということです。

ここが認識プロセスを理解する上での肝になるので、しっかりと腹に落とし込んで欲しいです。

外界の情報に「意味」をつけるのは、私たち自身の脳です。

例えば、今期の売上が、前年対比5%増の100億円という数字を見たとします。

Aさんは、「100億円到達か!」という意味付けをするかもしれません。Bさんは、「この市場状況で5%増は頑張ったな」と意味付けします。

Cさんは、「当たり前だ」というような意味付けをする。Dさんは「10%はいきたかったのにな」と言う意味づけ。Eさんは「それがどうしたんだ、俺にはかんけいないよ」なんて意味付けするかもしれません。

このような数字情報だけでなく、目の前で起きている出来事、人の言葉や行動などありとあらゆる情報には意味は無く、意味を付けるのは私たち自身の脳なんです。

そして次に重要なのは、この「意味付け」がその後の行動の選択や感情に紐づけされているということです。

Aさんのように「100億円到達か!」という意味付けをすれば、嬉しさなどの感情が沸きあがるかもしれません。次は200億円到達の戦略を考えようという行動に移るかもしれません。

Eさんのように「俺には関係ないよ」という意味付けをすれば、特に感情の変化もなく、行動も大きな変化はないかもしれません。

そして、この行動の選択と行動の質が結果に大きく影響します。つまり、「意味付け」と感情が結果を左右することになります。

組織活動においては、結果を求めて戦略や戦術をつくり、PDCAを回して行動の検証を行うのが常識だと思いますが、その前に、「意味付け」や感情に意識を向けていくことも急がば回れで、望む結果を得る方法だと考えています。

自分自身のことがよく分かっていない理由

この脳の認識プロセスによって生じる、自分自身の行動、パターン、性格、価値観、信念を探求することが不可欠です。

自分のことなので簡単だと思うかもしれませんが、実は自分自身のことが一番わからないと思った方がいいです。

なぜなら、自分自身に向き合うことがリーダーシップに限らず、求める成果を出すために有効だと考えたこともないからです。

もう一つは、自分に向き合うという言葉の意味付けが自己反省を意味するからかもしれません。

そして、最も自分の事が分からない理由は、外界の情報にどんな意味を付けるかが分からないからです。

このどんな意味付けをするかは、その時の状況や立場、役割など今置かれている環境などに影響します。

この置かれている環境によって意味付けが変わるのは、分かりやすいし、今後の意味付けも予想がつきやすい。

分かりにくいのは、「観点」によって意味付けがされることです。「観点」は「思い込み」と言ったり、「信念、価値観」といったりする場合もあります。

生まれてからの様々な体験や知識によって生まれ、人によって違う「観点」が意味付けの基になります。

そして、この「観点」を性格や特長などと簡単に片づけてしまうとこが、自分の事が一番わからない理由になります。

なので、この「観点」に気づく為の探求が求められるのですが、これが面倒だということで、これに向き合わない事が自分の事が分からない理由になります。

観点に気づく

「観点」に気づく方法は、いくつか知られていますが、ここでは日々気づいた時に手軽にできる方法を紹介します。

脳の認識プロセスを理解することで、「観点」にも気づくことができます。それは「意味付け」です。

外界の情報には意味は無いとしつこく言ってきていますが、情報を受けっとったことによってどんな意味付けをしたかに意識を向けます。

今、どんな意味付けをしたかに意識を向けます。正確にどんな意味付けをしたかを知る必要はありません。ただ意識を向けます。

「前年対比5%増加の100億円達成」という数字の5%増加を受け取ったのか、100億円という数字を受け取ったのか。そして「よく頑張った」という意味付けをしたのか、「まだまだやれる」という意味付けをしたのかなどなど

あいまいな感じで良いので、意識を向けてみる。これだけのことで、外界の情報に意味付けしている自分自身に気づくことができます。

そして、次にチャレンジしたいのが、感情に気づくことです。ビジネスパーソンの方には、感情に左右されるのは悪いことだと思い、感情を押し殺すことが良いことだと考えている方が結構な数でいるようです。

その為か、今自分自身の中でどんな感情が沸きあがっているかが分からないという方が多く見られます。

しかし、気づかなくても、どんなに押し殺して平静だと周囲の人には見られていても、感情は沸きあがっています。

なので、押し殺すことを考えるよりも、今どんな感情が沸きあがっているかに意識を向け、気づいていきます。気づくことで、感情に左右されるのではなく、感情を味方につけることが可能になります。

今、自分はどんな感情が沸きあがっているのか、「不安、恐怖、心配、怯え・・」などのネガティブな感情なのか、「楽しい、爽快、安心、嬉しい・・」などのポジティブな感情なのかに気づいていく。

そして、外界の情報に意味を付けたことと、感情を繋げていくことで、意味付けと感情が結びついていきます。

気づくことができれば、マネジメントが可能になります。気づかないので感情に行動が左右されてしまうことになります。

感情的になることを恐れず、感情に気づいていきましょう。

リーダーとしてのマインドセットのつくり方

自分自身を知り、自分自身を変える勇気を持っている人は、リーダーシップを発揮することができます。

自分自身をリーダーとして見ることができる人は、他者をリードし、自分自身と環境との間の適切なスペースを確保し、重要な決定を行うことができます。

リーダーシップを発揮するためには、自分自身が望ことにコミットし、それに向かって行動する必要があります。

この自分自身が望むこと、これは組織目標の達成かもしれませんし、私的な目標達成かもしれません。

この目標達成の為に取るべき主な行動を選択します。自分自身がとる行動。メンバーに取ってもらう行動、そしてその為にメンバーにどのような行動をとるのかを想定します。

例えば、「どんな時も可能性を考え続ける」「メンバーには優しく、公正である」とかの行動の基になる自分自身の状態を想定します。

その状態をつくるための「感情」は「冷静で燃えている」なのか「落ち着いている」なのかを仮説で良いの想定します。

ここまでできれば、後はその状態や感情を持つための意味付けに意識を向けます。

思い出してください、外界の情報には意味は無い、です。意味付けすのは自分自身なわけですから、求める感情が沸きあがる意味付けを自分自身ができるんです。

と言っても直ぐにできるわけでは無いので、練習が必要です。意味付けと感情の繋がりを知る練習。

自分が望む感情、個々の場合は「感情=マインドセット」と言ってよいと思います。これをつくり出す意味付けの練習。

まとめ

リーダーシップを発揮するためには、まず自分自身を知ることが必要です。自分自身が認識されるプロセスの理解を始め、自分自身がよくわからない理由や、自分自身に対する観点の認識、そしてリーダーとしてのマインドセットの発揮方法まで考えていきました。自分自身を知り、変化する勇気を持ち、リーダーシップを発揮していくことで、自分自身や周りの人々にポジティブな影響を与えることができます。

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